この記事にはプロモーションが含まれています
ビカクシダの原種18種類と品種ごとの自生地・特徴・育て方のまとめ
様々な草姿が魅力のビカクシダ。自然界に自生している「原種は18種類」。
ビカクシダ愛好家のひとりとして、「ビカクシダを育ててみよう」という方がひとりでも増えてくれたら嬉しいな〜と思い、今回は自然界に自生する「ビカクシダの原種」についてまとめました。
BOKUNARI ビカクシダ芸人
ぼくなりのビカクシダを編む人
”ビカクシダのある暮らし”を発信したくて、古き良き時代のWEBにあった”誰かの日記”みたいに残しています。
いつかは、ビカクシダを美しく育てられる人になりたいものです。
- 最近ビカクシダに興味を持った
- ビカクシダには”種類”ある
- ビカクシダの品種(原種18種類)の特徴や育て方を知りたい
- ビカクシダの自生地域について知りたい
こんなことが気になる、ビカクシダ初心者にお読みいただきたい記事です。
ざっくりおさらい「ビカクシダ」とはとんな植物?
ビカクシダは、形状の違う2種類の葉を出すのが特徴のシダ植物。
観賞用にはコルクやヘゴ板に着生させて壁掛け状に鑑賞しながら育てるのがスタンダードです。
ビカクシダ。漢字で書くと「麋角羊歯(びかくしだ)」。英語で書くと「Platycerium(プラティケリウム)」。
麋(ビ:中国に伝わる空想上のシカ)の角、欧米ではヘラジカの角に似た容姿から日本語では「ビカクシダ」と呼ぶようになったそうです。
ビカクシダ属(ビカクシダぞく、学名:Platycerium、プラティケリウム)は、ウラボシ科のシダ植物の1群である。熱帯域に生育する着生植物で葉には2つの型があり、1つは盾状に広がり、他方は細長く垂れ下がる。観賞用に栽培されることがある。
ウィキペディア|ビカクシダ属
そんなビカクシダの仲間には、自然界に自生する18種類の原種があって、それぞれ個性的な草姿をしているのが魅力の植物です。
用語がわかりにくい場合は、ビカクシダ用語集も参考にしてみてください。
それでは見ていきましょう
ビカクシダ原種の分布:自生地=熱帯域
ビカクシダは赤道付近、東南アジア、オセアニア、南米、アフリカの熱帯地域に自生しています。
世界地図を見ると気づくように、ビカクシダは日本よりも南の、温暖な気候の地域に生息しています。
つまり、ビカクシダを育てるうえで「日本の冬の寒さが苦手」とイメージしておくだけでもうまくいきます。
そんな18種類のビカクシダの原種の生息地を地域ごとに4つのグループにわけると、品種見た目や育て方の特徴をイメージできるので、お気に入りのビカクシダを見つけやすいかと思います。
ビカクシダ18種の原種 と自生地域ごとのグループ
オセアニア地域のビカクシダ原種
オセアニア地域のビカクシダは、初心者でも育てやすいですよ
ウィリンキー(P. willinckii)
- 学名:Platycerium willinckii
- 自生地:ジャワ諸島 小スンダ島
- 耐寒性:10℃以上
成長すると中型から大型になる品種。地域による草姿のバリエーションが多いため人気が高い。
貯水葉は幼苗のときは丸く、成長にともなって上部に深い切れ込みが入り扇状に広がるのが特徴。胞子葉は細長く、下垂して先端が多分岐する。
葉の表面の星状毛は高密度で、角度によって白っぽく見えることもある。
赤道直下の熱帯気候の雨季と乾季がはっきりした地域に自生しているため、乾燥には強いが寒さに弱い傾向がある。
日照を好むので、午前中の直射日光や20〜50%遮光した日中の日ざしで育てると良い。根本がきちんと乾燥してからたっぷり水やりをすることと、適度に風通しのよい環境で管理する。
寒さに弱いため、冬でも15℃以上の環境を維持したい。
ベイチー / ビーチー(P. veitchii)
- 学名:Platycerium veitchii
- 自生地:オーストラリア ニューカレドニア
- 耐寒性:5℃以上
成長しても小型から中型の品種。原産地による葉の形状のバリエーションが多いため人気が高い。
胞子葉の表面を覆う星状毛が高密度で、白っぽく見えるのが特徴。
胞子葉は上に向かって細長く伸び、貯水葉の上部は鋭い切れ込みが入る。
日本の気候でも比較的栽培しやすく、子株が増えやすい品種。
日照はやや強めを好む。日照不足になると葉が間延びしてしまうので注意が必要。
冬でも15℃以上の環境なら成長するものの、最低気温10℃以下になる場合は水やりを控えめにして越冬させる。
ビフルカツム(P. bifurcatum)
- 学名:Platycerium bifurcatum
- 自生地:オーストラリア東部
- 耐寒性:5℃以上
成長しても小型から中型の品種。もっとも育てやすく、園芸店などで広く販売されている。
より育てやすいようビフルカツムを品種改良した「ネザーランズ」はより強健で初めてのビカクシダに挑戦する品種として最適。
胞子葉は分岐しながら上に向かって細長く伸び、貯水葉の上部は浅い切れ込みが入る。
強健な品種で、とくに寒さに強いのが特徴で、霜が降りない地域の日が当たる場所なら通年で屋外管理も可能。
日当たりは半日陰〜やや強めで管理し、夏の直射日光は避ける。
子株もよくつくので、繁殖させやすいのも魅力。
ヒリー(P. hillii)
- 学名:Platycerium hillii
- 自生地:オーストラリア東部
- 耐寒性:5℃以上
成長しても小型から中型の品種。とても丈夫で子株をよくつける繁殖力が強いのが特徴。
胞子葉は葉先に向かって幅広く肉厚で星状毛が少ないので緑。上に向かって伸びながら、先端が重みで垂れ下がる。胞子葉自体はあまり長く伸びない。
貯水葉は成長しても丸形で切れ込みは入らず、水苔を覆うように展開する。
そのため、水やりの際は根にきちんと水が届くように水やりをする必要がある。夏場は蒸れやすいので風通しのよい場所が好ましい。
丈夫な品種であるが、葉焼けを起こしやすいので、夏の直射日光は50%程度の遮光で管理するとよい。
寒さにも強いものの、15℃を下回る頃には屋内で管理をする方がおすすめ。
スパーバム(P. superbum)
- 学名:Platycerium superbum
- 自生地:オーストラリア東部
- 耐寒性:5℃以上
大型に成長する品種。日本の気候でも育てやすいため、園芸店でも流通する。グランデと似ているため、混同されていることもある。
胞子葉は株が成長しないと展開しない。細長く多分岐して下垂する。成熟すると胞子葉の二叉の基部に胞子のうが1つできるのが特徴。
貯水葉は上部が王冠状に広がる。定期的に貯水葉が展開しないと株が弱っていくので注意が必要。
日照条件への対応も柔軟なものの、夏の直射日光は遮光する必要がある。
寒さにも強いものの、10℃以上を維持して管理する。
子株で増えないため、胞子培養で増やす。
東南アジア地域のビカクシダ原種
独特の草姿で人気のリドレイや圧巻の大型品種が揃うのが東南アジア地域に自生する原種の魅力です
リドレイ(P. ridleyi)
- 学名:Platycerium ridleyi
- 自生地:ボルネオ島 スマトラ島 マレー半島
- 耐寒性:12℃以上
原種の中でもひときわ独特なフォルムのビカクシダで、人気の品種。
自生地では樹木の上部に着生しているため、日当たりよく、通気に優れた環境を好むので、栽培環境で光・風・水・温度・湿度をバランス良く保つ必要がある印象。
成熟した株になると、「スプーン」と呼ばれる独自の胞子葉に胞子をつける。
親株が枯れるときにのみ、根茎が枝分かれして脇芽を出して新しい株が生まれるという特徴がある。
コロナリウム(P. coronarium)
- 学名:Platycerium coronarium
- 自生地:タイ フィリピン シンガポール ベトナム ボルネオ島 ジャワ諸島
- 耐寒性:12℃以上
大型に成長するビカクシダで、下垂する胞子葉は先端を多分岐させながら1m以上になることもある。
成熟した株になると、「スプーン」と呼ばれる独自の胞子葉に胞子をつける。
胞子葉の表面を覆う星状毛は少なめでツルツルした光沢のある質感。
木漏れ日のような光を好み、根腐れを防ぐためにも通気に気をつけながら栽培する。15℃を下回る時期には室内管理で育てると越冬できる。
グランデ(P. grande)
- 学名:Platycerium grande
- 自生地:フィリピン・ミンダナオ島
- 耐寒性:12℃以上
大型に成長する品種。株が成熟しないと胞子葉が出ない。
上部が大きく広がる王冠状の貯水葉が特徴。ワンダエやスパーバムと似た胞子葉の形状であるが、1枚の胞子葉に2つの胞子のうをつけることで見分けられる。
年間を通して根腐れしやすいので、根本が完全に乾いてから水やりをし、風通しが良い場所で管理する。
寒さに弱いため、冬でも15℃以上の環境を維持したい。
ホルタミー(P. holttumii)
- 学名:Platycerium holttumii
- 自生地:マレー半島 タイ カンボジア ラオス ベトナム
- 耐寒性:12℃以上
大型に成長する品種。肉厚で光沢がある。
冠状の貯水葉が特徴で、株が成長すると幅広の大きな胞子葉を展開する。
自生地ではモンスーン気候の湿度と日当たりの良い場所で育つため、栽培下でも高湿度と強い光が求められる。
年間を通して明るい日なた〜半日陰で管理し、根本が乾いてきたらたっぷり水やりをして栽培する。最低気温が15℃を下回る時期には室内、10℃を下回る頃には水をひかえめに休眠させて管理する。
ワリチー(P. wallichii)
- 学名:Platycerium wallichii
- 自生地:ミャンマー マレー半島 インドシナ
- 耐寒性:12℃以上
原種の中では比較的小型の品種。
株が成長すると幅広の胞子葉を展開する。
日本の気候では、冬に葉を内側に丸めて休眠し、春になると丸めていた葉を元に戻す特徴がある。
年間を通して明るい半日陰で管理し、根本が乾いてきたらたっぷり水やりをして栽培する。最低気温が15℃を下回る時期には室内で水をひかえめに管理する。
ワンダエ(P. wandae)
- 学名:Platycerium wandae
- 自生地:インドネシア パプアニューギニア島
- 耐寒性:12℃以上
大型に成長する品種。肉厚で光沢がある。
冠状の貯水葉が特徴で、株が成長すると幅広の大きな胞子葉を展開する。
自生地ではモンスーン気候の湿度と日当たりの良い場所で育つため、栽培下でも高湿度と強い光が求められる。
年間を通して明るい日なた〜半日陰で管理し、根本が乾いてきたらたっぷり水やりをして栽培する。最低気温が15℃を下回る時期には室内、10℃を下回る頃には水をひかえめに休眠させて管理する。
アフリカ地域のビカクシダ原種
アルシコルネ(P. alcicorne)
- 学名:Platycerium alcicorne
- 自生地:アフリカ東部 マダガスカル島
- 耐寒性:8℃以上
小型に成長する品種。同一品種でありながら、産地によって草姿が異なり、マダガスカル産のアルシコルネはバッセイ(vassei)とも呼ばれる。
胞子葉は細く短めで上向きに伸び、先端が細かく分岐する。星状毛は少なめなのが特徴。
アフリカ産の貯水葉は、丸形でツヤのある質感。マダガスカル産の貯水葉は、上部に深い凹凸がある。
日ざしには強いタイプなので、光量が不足すると徒長しやすい。日中は遮光下で管理する。
真夏の高温時や冬場10℃以下になると成長が鈍くなるので、水やりの回数などを工夫する必要がある。15℃以上を維持できれば冬場でも成長する。
エリシー(P. ellisii)
- 学名:Platycerium ellisii
- 自生地:アフリカ東部〜西部
- 耐寒性:12℃以上
小型〜中型に成長する品種。日本では親株サイズがあまり流通しない。
胞子葉は幅広で先端の分岐が少なく、雨を受けるように凹んで上に向かって伸びる。水分の蒸発を防ぐためにロウ上の物質に覆われてツルツルしているのが特徴。
貯水葉もロウ状の物質に覆われて、根を包み込むようにお椀状に展開する。
ビカクシダの中でも高温多湿を好む品種。
自生地の夏は高温多湿、冬はやや冷涼な気候を意識して管理する。光量は木漏れ日程度の場所を好む。
ステマリア(P. stemaria)
- 学名:Platycerium stemaria
- 自生地:アフリカ中部〜西部
- 耐寒性:12℃以上
中型〜大型に成長する品種。ワイルド株の入手が困難なため、胞子培養株が流通している。
胞子葉は星状毛が少なくツルツルしているが、裏面は高密度の毛で覆われている。
貯水葉は上部が長く、先端が手前に広がることで上から落ちてくる落ち葉や虫をキャッチする構造なのが特徴。
春〜夏は50%遮光で、水苔の表面が乾いてからしっかり水やりする。やや湿度が高い環境を好む。寒さには比較的強いものの、10℃以上を維持して管理する。
マダガスカリエンセ(P. madagascariense)
- 学名:Platycerium madagascariense
- 自生地:マダガスカル島
- 耐寒性:12℃以上
小型に成長する品種。日本では子株やメリクロン株で流通する機会が増えている品種。
胞子葉は幅広で短く、上向きに伸びる。
貯水葉は深い凹凸があり、根を包み込むように展開するのが特徴。
日本の夏の暑さに弱いため、葉水や風通しで株の温度を下げるなど対処が必要。日当たりも60%程度の遮光で管理する。
冬場は20℃以上を維持しておきたい。
子株を多く出す品種で群生しやすい。
クアドリディコトマム(P. quadridichotomum)
- 学名:Platycerium quadridichotomum
- 自生地:アフリカ東部〜西部
- 耐寒性:12℃以上
小型に成長する品種。入手、栽培難易度が最も難しいとされるビカクシダ。
胞子葉は波打つような形で下垂し、2回分岐して葉先が4つに分かれるのが特徴。小品種名の由来にもなっている。
冬場の休眠期に入ると、葉を内側に巻き乾燥から身を守るが、春からの成長期に元通りに再生して成長をはじめる。
貯水葉は上に伸びて、葉先が浅く切れ込みが入る。
ビカクシダの中でも高温多湿を好む品種。
日当たりは20〜50%の遮光で明るい場所で管理する。成長期は水苔が乾いたらたっぷり水やり、休眠期は控えめな水やりで乾燥気味に管理するとよい。10℃以上は維持できる環境が必要。
アンゴレンセ(P. angolense)
- 学名:Platycerium angolense
- 自生地:アフリカ東部〜西部
- 耐寒性:10℃以上
中型〜大型に成長する品種。
胞子葉は幅広で先端が分岐しないのが特徴。同じ形で2枚の葉が展開する姿がゾウの耳に似ていることが旧種小名「エレファントティス」の由来になっている。
貯水葉は成長すると上部が長く伸びる。あまり切れ込みは入らない。全体的に葉脈がくっきりしているのも特徴。
成育環境にはある程度の光量と温度が必要ながら、夏は50%遮光で管理する。
自生地の環境は雨季と乾季があるため、乾燥と湿潤のメリハリをつけた管理をするとよい。低温下での湿潤には弱く根腐れを起こしやすいので乾燥気味に、15℃以上を維持して管理する。
南アメリカ地域のビカクシダ原種
アンディナム(P. andinum)
- 学名:Platycerium andinum
- 自生地:ペルー ボリビア
- 耐寒性:12℃以上
大型に成長する品種。自生地では2m以上にもなる。
胞子葉は細長く下垂し、先端が多分岐する。星状毛の密度も濃いのが特徴。
貯水葉は上に長く伸び、先端は深く切れ込みが入る。
木漏れ日のような光量を好むため、朝以外は遮光下で管理するとよい。水を好む品種なので、乾燥させすぎない水やりが必要。
寒さには弱いので、冬場は15℃以上を維持できるような環境をつくる。蒸れやすい環境ではサーキュレーターなどで空気を動かすことが好ましい。
まとめ|愛好家のInstagramも参考になりますよ
原種を見ただけでも様々な草姿があっておもしろいビカクシダの世界を感じていただけたのではないでしょうか。
Instagramに投稿しているビカクシダ愛好家もたくさんいます。
以下に、ビカクシダの原種18種類について品種名ごとのInstagramのハッシュタグへのリンクをまとめましたのでご活用ください。
いかがでしょう…お気に入りの品種は見つかりましたでしょうか?
お部屋に1つ飾るだけでも存在感の出るインテリアプランツ「ビカクシダ」。ぜひ、チャレンジしてみてください。
さらに、複数の品種をかけ合わせて様々なハイブリッド種(交配種)が作出され続けていてるので、ビカクシダの品種は増え続けています。
そんなハイブリッド種であっても、ルーツをたどればこれらの原種にたどり着きます。
ビカクシダの原種の特徴や育て方のコツを知っておけば、ハイブリッド種を育てる際にも役立ちます。
お好みの草姿の品種探しのお役に立てば嬉しいです
コメント